前回までのあらすじ §
- 1965年(昭和40年)のイギリス製特撮人形劇TVドラマのサンダーバードにおいて、エンパイアステートビルを移動させるエピソードがある
- アイデアの元は日本のデパート(department store)の移動であるという情報がある
- 日本の曳家の事例を調べると、それに近いのは新宿聚楽ビル(昭和35年)であるが、デパートではない
今回の発見 §
帝都地形図の明大前駅前を見ると、丸に市のマークがあり、隣に【二葉デパート】の表記があります。しかし、1936年の航空写真を見ても、終戦直後の航空写真を見て、デパートらしい建物は見当たりません。
しかし、以下のことが分かりました。
WikiPediaの百貨店 より
昭和40年代以前は、地方を中心に比較的小規模な商店が店名に『○○百貨店』と名付けていたことも多かったが、個人商店の域を超えていない店がほとんどであった。またスーパーマーケットでもかつては「百貨店」を名乗る社も存在した他、店名に『○○デパート』と名付けていた店もあった。今でも地方の年配者には、スーパーマーケットのことを「デパート」「百貨店」と呼ぶ人もいる。また月賦百貨店も特に関東で盛んであった(丸井、緑屋など)。
つまり、明大前駅前の市場(丸に市のマーク)がおそらく【二葉デパート】です。【昭和40年代以前】の常識で市場がデパートなら、新宿聚楽ビルもデパートです。昭和35年に曳家で移動した時点でデパートなら、【デパート】としてイギリスに報道が伝わった可能性があります。当然この【デパート】は厳密な意味でdepartment storeではないかもしれませんが、この程度の誤訳は日常茶飯事です。
ですから、サンダーバードのビル移動のアイデアのヒントになったのは、昭和35年の新宿聚楽ビルの曳家だと考えて良さそうです。
感想 §
ずいぶん時間が経ちましたが、思わぬ方向から決定的な情報が得られました。帝都地形図と明大前と二葉デパートに感謝。